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「面白いお母さんね。」
琴平夕日に連れられて飛悠は教室を目指す。
ようやく止まった鼻血と少しシャツ付いてしまった血痕。どっかのスポ魂主人公みたいに貼られたバンソウコウが恥ずかしい。
飛悠の母親。さっちゃんは飛悠を置き去りに---もとい琴平夕日に頼んで早々に東京へと帰っていった。
そりゃあもう恥ずかしくなるくらいのテンションで職員室中の先生方に頭を下げた後で。
別れ際の言葉は「夕日さんを襲っちゃダメよ!」だった。
頼むよさっちゃん---。
帰る背中に切実にそう思った飛悠。
窓から入ってくる風が心地いい。
時折、桜の花びらが廊下へと舞い降りてくる。
前を歩く琴平夕日の後ろ姿がなんともソレに合っている。
飛悠はそんなことを考えていた。
時折香る夕日の香りが又なんとも・・・。
一瞬トリップしそうになる。
「なぁ、なんでお前がさえこと一緒にまってたんだ?」
素朴な疑問を投げかける飛悠。
「先生に頼まれたからよ。」
即答。
まぁ、そうだよな---と、飛悠は納得する。
ふと、足を止める夕日。
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