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「よかったら相談のるよ?」
心配そうに顔を覗く美穂を、俺は直視できなかった。
言えない。
言えばコイツは戦いの輪に自ら巻き込まれにくるだろう。
もうあのゲームはただのゲームではなく、リアルな殺し合いにすらなりかねない危険なシロモノだ。
「大丈夫…?」
言いかけた口が止まり、前方の一点に目が行く。
人が一人歩いてくるのだ。それだけなら違和感はなかったろうが、ソイツは此方を凝視している。
そして
奇妙な光に包まれたソイツは、異形へと姿を変えた。
「…走れ」
「…え?」
恐怖に目を揺らす美穂に向かって
「走れっ!」
気付けの意味も込めて大声で逃げるように促す。
小さく頷くと、美穂は道を逆走していった。
「…ったく、不謹慎だが今だけは感謝するぜ」
『Set up!』
戦いに巻き込まずに済んだことを言ったのだが、どちらにしろトラウマになりかねない事態に遭遇したので、良いとは言えなかった。
「変身!」
『チェーンジッ!仮面ライダー!リベル!』
「さぁて、さっさとやろうぜ』
鎧を纏った五体に、脳が指示を出す。
“戦え”と。
丸で先程までの憂鬱を消そうとするように。
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