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「いねぇか」
バトラーでしか見たことがないので、まずはそこに居座るしかなかった。
「おい勇騎、お前コーヒー何杯目だよ。飲みすぎはいくらなんでも毒だぜ?」
「マスターの儲けになっていいだろ?」
何処か投げやりな感じに言ってしまう。見つからない苛立ちが出てしまっているのか。
「あいつぁよくわかんねぇからなぁ…」
「…まあ、そうか」
と、そこに一人の男が店に入ってきた。
「あ、フルーツパフェひとつ」
「あいよー」
注文するなり俺の横に座った男は、青地に千鳥格子をあしらったパーカーという変わったものを着ていた。
「…なんすか?」
どうも見つめてしまっていたらしい。
「いや、なんも…」
「あ、そう?」
きょとんとしている男から目を反らし、コーヒーを啜る。
「……」
しばらくしてコーヒーを飲み干すと、財布を取りだし、金を置く。
「…んじゃ、また来ます。やつが来たら連絡もらえると助かります」
「あいよ」
そうして出ていった時、俺はまだ知るよしもなかった。
隣にいた男と、再び出会うことに。
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