第一章・真衣と拓実

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事実、三年生女子乗り込み事件以来、クラスの女の子たちの真衣に対する態度は変わっていた。 真衣と仲良くしてあわよくば拓実に近づこうとする子や、露骨に嫉妬して悪口を言う子も、甲子園の地区予選以降、ますます増えていた。 「みんながみんなそうじゃないと思うよ」 慰めると、 「でも、いいんだ。あたしは拓ちゃんがいれば。あ、でも真央は違うよ。真央は特別だから」 真衣は慌てて否定した。 「あたし、嬉しかった。真央が、先輩たちに向っていってくれたこと」 「そんな、私は別に…」 私は、別に真衣を本気で守ろうとしたわけじゃなかった。ただ、目に余る三年生の態度にむかついただけで。 それに、もし私が真衣と仲良くならなかったら、私だって同じように…。 「でも、嬉しかったの」 ふっくらとした頬を赤く染めながら、真衣は照れくさそうに笑った。
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