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それまで私は、他の誰かを羨ましいと感じたことがなかった。
勉強は特別できるほうではなかったけれど、容姿には恵まれていたし、家も普通よりは裕福で何不自由ない生活をしていたから。
でも、拓実と出合って、私は初めて他の誰かになりたいと思った。
そう。私は、真衣になりたかった。
生まれ持った幸運の全てを引き換えにしても、彼女と入れ代わりたかった。
たった一文字しか違わないのに、拓実が好きなのは真衣で私ではない。
そんな当たり前の事実すらもどかしかった。
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