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はるか昔、とある王国の広場にて。
「なんだ、何をする気だ!?」
数百人もの人々が拘束されたまま集められ、その周りを衛兵達が武装して取り囲んでいる。
不安そうに抱き合う親子、衛兵を威嚇する男、今にも泣き出しそうな子供達。
そんな彼らに共通しているのは…
背中に生えた、二つの羽。さらに、鋭い牙や角をもつ者もいる。
異形の人間達────…
「お前達は、我らの理想とする世界には必要ない。従って、今日ここで死んでもらうぞ。」
広場に思念体として姿を現した男は、拘束した彼らを一瞥するとそう告げた。
「ふざけんな!!そんなお前らの勝手で殺されてたまるか!!!」
体格が良く整った顔立ちの男が怒号を飛ばす。
それと同時に、衛兵が持つ剣の先から炎の塊が放たれた。
「グッ…」
炎の塊は怒号を飛ばした男に直撃した。
「アモン!!!!」
広場に悲痛な女性の声が響き渡る。
「いいか、お前達は神となるこの私の贄となるのだ。喜ばしいことだろう?その身をもって私の役に立てるのだから。」
「ふざけるな…!私達はそんなことの為に生きてきたのではない!私達は、皆を救う為に…!」
「黙れ!!皆の為だと…?忌々しい、すぐにその減らず口など聞けなくしてやる!!
…やれ」
思念体の男は、広場の衛兵達に命令を下した。
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