第二章:はじまり、はじまり。

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純粋に、聞こえた声に聞き返しただけだった。 ---------------------だけど。 僕がこう聞いた瞬間、先生の顔色は変わり、両親が火がついたように怒り出した。 何を言っているのか、全く理解できず。 ただ謝り続ける医者と、泣きながら講義する母親。 顔を真っ赤にして、怒鳴りつける父親の表情しか読めなかった。 ------------------頭の中には、医者・両親・看護師・入院患者等たくさんの人の声が流れているので、正確には、『聞き取れなかった』。 「やめんか!!子どもの目の前で見苦しい!!」 あたりを一喝するように大きな声を出したのは、僕のおじいちゃんだった。 「ここは病院じゃろうが!そんな喧嘩なら外でしてこい!」 そういって、がしっと医者と両親の腕をつかむと病室の出入り口まで引きずって外に追い出していった。 パンパンっと手を払って一息つくと、僕の方に近寄って優しく微笑んだ。 「大丈夫か?」 「・・・うん」 「タケル・・・。じいちゃんは何も心の中で考えとらん。じいちゃんの声聞こえるか?」 そういってにっこりと笑いながら近くのパイプいすに腰を下ろした。 ドアを締め切って、じいちゃんだけを意識してみれば、確かに何も聞こえない。
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