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あたしと、美緒ちゃんは、とてつもなく勉強ができない。更に付け加えるならばあたしは馬鹿でアホでブス。
美緒ちゃんは、勉強ができないのを忘れちゃう位の美人さん。
大きな目は、二重瞼で(あたしは綺麗な一重)プルンとしたピンクの唇(あたしは普通。可もなく不可もなく)長い手足(あたしは短足豚足)サラサラの髪(あたしはボサボサの髪。朝はそれどころじゃない)
ただ、美緒ちゃん。それを覆す位の口の悪さ。そこら辺のヤンキーさんもビビっちゃって逃げ出す程の美人さん。
いや、これは嘘じゃない。
あたしと美緒ちゃんが仲良くなったのは、中学校の入学式の日。迷子になりかけて、学校の周りを奔走していたあたしの目に映ったのはヤンキーさんに絡まれている美緒ちゃん。
同じ制服だ!友達だ!←なんでこの方程式が成り立ったのか今でも理解できない。
助けようと、足をその方向に向けた瞬間。
「触んないでよ、クソブス」
目がテンとは、まさにこのことだと思いましたね。
ヤンキーさんも声が出ないのか、美緒ちゃんの腕を掴んだまま固まっている。あたしも、現状を把握できずに、固まっていた。
「離せって、いってんだよ...!!!」
その言葉と共に、美緒ちゃんはその細く綺麗な足を高ーく振り上げ、固まるヤンキーさんの急所へと...。
「っ、ああ゛......、」
ふん、と鼻を鳴らしつつ髪を払った美緒ちゃんの視界にあたしが映った。いや、もう、恐ろしくてしょうがない。
「...」
美緒ちゃんは、あたしを10秒程見つめて、歩いていった。いや待って!
「あの!一緒に行きませんか!」
頑張って、声をかけたのに。
「は?嫌よ」
撃沈。
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