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いやあ、今思えばこの頃から美緒ちゃん冷たかったなあ。
あれ、なんだか泣けてきたんですけど。
「光?」
「っ、ハイ!」
「いい加減にしろっ!」
ゴンッ、堪忍袋の緒が切れたらしい美緒ちゃんの鉄拳があたしの頭に落ちてくる。痛い、痛すぎる。なんだこれ、人間の成せる技なのか!?
だけど、スッキリしたのか、美緒ちゃんが極上の笑顔で着いたよ、と一言。
「うわ、うわ!ほんとだ!でっかー!!...くはないね。うん。普通だったわ」
そして何より、汚い!あちこちに落書き落書き落書き!○○参上!みたいな。
地面に書けよ!砂の上に書けば、足でザッザッってしたら消せただろ!
「ほら、体育館行くよ」
「あ、はーいっ、った!」
「うわ、ごめんね、大丈夫?」
「っ、はい...、すいません」
「あんた、何してんの。うわ、イケメーン」
完全なる棒読みで美緒ちゃんがニコリと笑った。その声にあたしは、ぶつかってから初めて相手の顔を見たのだ。
確かに、イケメン。一言でいうなら、爽やか。困ったように、眉を下げるとか!なに、こんな不良校にいんの!こんなひと!そしてさらに。
「は、ハンカチーフだ、と...?!」
お、王子様...!!!!
「え?」
「っ!ごめんなさいねー!それでは、失礼しますぅー!オホホホホ」
放心状態のあたしを引っ張る美緒ちゃんの焦り様をあたしはしらない。
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