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フフフーンフフーン、どう反応すべきなのだろうか、鼻歌が彼女から聞こえる。
え、なんかめっちゃノリノリじゃね?え?これ、邪魔じゃね?これ、俺ら邪魔じゃね?
「おい」
そんな、俺の心配は、無用だったようで、冬夜は完全なる無視を決め込んで彼女に話しかけたのだった。
「はい?」
そう反応した彼女はフツーだった。当たり前にフツーだった。いや、ごめんなさい!少女漫画とか小説的展開を期待してました、ごめんなさい!
「おまえ、なにしてんの?」
「え?えっと、掃除...、ですかね」
でしょうね!でしょうね、でしょうね!何、見れば分かっちゃう質問しちゃってんの、冬夜くん!困ってんじゃん!
「はあ?んなこと、見ればわかんだよ。なんで...おまえがする必要があんの」
いや、なにキレてんの!?え?!理解不能なんだけど!え?!眉間に皺を寄せて、あくびをした冬夜。
...え?あくび?ねむいのね!だめ!八つ当たり禁止!
しかし、彼女はそんな冬夜に怯える事無く、不思議そうな顔をしてから小さく笑った。
「必要がなければしちゃだめなんですか?あたしが、したいから。っていうのは、理由にはなりませんか?」
あまりに、はっきりとした物言いに、少したじろぐ。
「いや...悪い。ほんらい、おれら..のしご...」
やばいやばい、寝ちゃう寝ちゃう!語尾聞こえてないよ、冬夜さん!
「気にしないで下さい。家に帰ってもずっと気になってたんですよ。だから、雑巾とか持って来ちゃったんですよ」
ばかですよね...、フフと、笑う彼女に俺は。
「っ!」
「ほれた!」
隣で寝ているバカを無視して、俺は言い放った。
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