第一章・笑顔の裏で

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込み上げる涙をこらえていると、 「あ、そうそう。お土産あったんだ」 突然、拓実が体を引き離し、キッチンへ戻って行った。 「お土産?」 「うん。コンビニよったら見つけてつい買っちゃった。ちょっと季節はずれなんだけど、真央甘い物好きだろ?」 拓実がコンビニの袋を差し出す。 「えー?何々?デザートは別腹だよぉ」 袋の中には、本当に季節はずれのデザート。あんまんが入っていた。 「真央、あんまん、好きだろ」 自信たっぷりに笑う拓実を前に、私は上手に笑えているだろうか? だって、あんまんが好きだったのは、私ではなくて、真衣だったから。
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