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踏み均されただけの道とも呼べないような道を見つけた。 道なりに下ると、やがて大きな木製の鳥居が姿を現した。 元は木の色だったのだろうが、年月が 染み込んだかのように黒ずんでいる。 鳥居を抜けた所あたりから、道は平坦になり、はっきりそうと分かるほどに空気の質も変わった。 木々の背は低く数も疎ら。 先ほどまでのどろりとした緊張感はなくなっていた。 どうやら山を出たようだ。 木立を透かして遠くの方の田園風景が見える。 カナカナカナという蝉の声。 さらさらと流れる川の音。 いつの間にか雨は止んでいたが、陽は遠くで真っ赤に焼け、あたりはすでに薄暗くなっていた。 一時間ほどは歩いていた。 これだけ歩いたというのに全く疲労を感じてはいなかった。 やがて木立が開けた。 そしてそのすぐの場所に丸太組みの小屋が忽然と立っていた。 何故だか自分はここに来ようとしていたのだと思った。
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