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「比奈の彼氏、また浮気してるよ?」
横目でチラリと教室の後ろの隅のほうに目を向ければ。
そこには見るからに軽そうなチャラチャラした男と、ケバくて派手な女がイチャついていた。
自分の膝の上に乗せた女の腰に手を回すその男に、沸々と怒りが込み上がってくる。
今日はまた一段と……
ベッタリと張り付くその姿は、あたしへの当て付けか。
それとも、ただの女好きか。
無表情の男からは何を考えてるのかまったくわからないけれど。
上に乗ってる女からは、馬鹿にされているような、見下されているような、そんな視線をひしひしと感じた。
あたしにだって、我慢の限界と言うものはあるわけで。
こう毎日のようにこんな光景を見せ付けられていれば、あたしだって我慢ならない。
こめかみの辺りをピクピクさせて、手に持っていた雑誌はぐしゃりと潰され見るも無残な姿に。
「あんなの知らない」
あたし、保坂比奈の呟きに。
前の席に座る親友、笹木未来は引きつった顔で苦笑いを浮かべた。
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