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……ああ、聞こえてたのね。
「俺は別れないからな」
キリッと睨みつけいるのに、その顔は怖いというよりどこか不貞腐れた顔にも見えた。
ご機嫌斜め、そんな顔した海斗は周りにいる女の子達を振り払ってこちらに近づいてくる。
そんなあたしたちは、クラスの注目の的で。
はぁ…と大きな溜息が零れた。
「ちょっと来い」
あたしの前まで来た海斗は、あたしの腕を掴んだかと思うと強引に引っ張って教室から出て行こうとする。
「ち、ちょっと、痛いってば」
その痛みに眉間にシワを寄せて嫌がるあたしのことなんて、完璧に無視。
「……チッ」
無視した上に、舌打ち。
「ちょっ…と」
怒ってるのはあたしだよ？
どうして海斗のほうが不機嫌なのよ。
ズカズカと歩く海斗を睨みつけたところで、何の効果もない。
ただ腕を引っ張って歩いていくその姿に、廊下ですれ違う生徒は怪訝な顔ですれ違っていく。
その視線になんだか恥ずかしくなって、俯いたまま黙ってついていくしかできなかった。
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