はじまりのキッカケ

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不機嫌なまま無理やり連れて行かれたのは、体育館近くの非常階段。 ここはあまり人目につかないためサボリに良く使われる場所で。 海斗の“遊び”する場所の一つでもある。 そこまできてやっと放された腕は微かに痺れていて、海斗を見ることなくその腕を擦っていると。 背中を向けいていた海斗が振り返るなり、真っ直ぐにあたしを見下ろしてくる。 俯いててもわかるその痛いほどの視線。 「嘘でも別れるなんていうなよ」 あたしの両肩を掴み、グイッと押し寄せてきた。 「誰が嘘だなんて言ったの? 本気かもしれないでしょ」 後ずさるあたしを海斗は見逃すことなく。 不意に腰に回った腕に引き寄せられる。 すっぽりと海斗の腕の中に納まってしまう。 突然のことでドキッと跳ね上がった胸は、すぐに彼の香りと温もりに包まれたことでホッとしてる自分に気がついて。 「ちょっと、離して…よ」 慌ててその腕の中から逃げ出そうとした。
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