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赤羽茉利亜という乙女
赤羽茉利亜は、例えるならば禁断の果実である。どうしても手に入れたくて、どうしようもなく手に入らないような、そんな少女である。
もしかしたら、もう、少女と形容すべき年齢ではないのかも知れない。しかし、女性と形容するほど成熟しきってはいないし、女と形容するほど生々しい存在ではない。あくまで「少女」という表現が相応しいほど無垢な雰囲気を纏っているのである。
しかしながら、何処までも純粋無垢、というのとは少し違う。ふわりとした天使のような雰囲気の奥に、少しだけ妖しい悪魔のような何かが垣間見えたり、まるで魂を売ってしまったかのような生気のなさを感じたりするからである。
掴もうとすればするほど、まるで掌から砂が零れ落ちるようにスルスルとすり抜けて行く存在、それが赤羽茉利亜なのである。
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