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「まぁ、何とかする。」
秀吉がぐいと茶を飲み干し、言った。
「何とか?」
「どちらにしても、私が出向かねばならない事だからな。」
「行くのか。…でもお前、今あの塔には入れねぇんだろ。」
「それも、何とかする。」
「お前なぁ…。」
「…あの。」
二人の話に独特の間合いで滑り込む。
先ほど利休に呼ばれた高山は緩やかに秀吉の方へ体を向け直した。
「何だ高山。また神とか御導きとか、訳解んねぇ教え説く心算じゃねぇだろうな。」
利休は先手を打って高山を叱る。
「いえ…。あの摩天楼について、私はもうひとつの方をこの目で見ております故、御参考になればと。」
「…九州摩天楼か。」
秀吉が応えた。
「はい。」
高山は品よく頷く。
「時に殿下、刀には様々な【波動】が有る事…お判りになられますか?」
「波動…?」
「息吹…とでも申し上げておきましょうか。手にした時に感ずる、本来の重みを超えた圧力のようなものです。」
「刀は折れるまでが【刀】だろう。どのような銘刀でも戦で使えば最後は等しく………いや、待て。」
「……。」
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