7人が本棚に入れています
本棚に追加
否定を紡ごうとした秀吉だったが
「有るな。信長様より譲り受けた一振り…あれだけは妙に重い。」
ふと己の中にある印象が言葉の通りである事を思い出し、訂正した。
笑みを深める高山は、続けて印象の例を言葉に乗せていく。
「有難うございます。では、その波動に【色彩】を加えるとしたら、殿下はどの色をお選びになられます。」
「色…か。そうだな…。」
「ゆるりとお考え下さい。実は最近、その色を持つ刀を【探し当てた】事例がありまして…」
「何…?」
「調べていくと、それが刀に限ったものではない事も見えて来ました。」
秀吉はそれを耳にするや、僅かに身を乗り出して訊ねた。
「まさか…!」
「大友氏の行き過ぎた聖教信仰を食い止めよと、徳川さまから命を受けまして。その犠牲(たて)となった憐れな伴天連(パードレ)たちから取り上げたものだと聞き及んでおります。」
言いながら、高山は胸元で十字を切った。
「焦らすな右近。それこそ貴殿の見たと云う、九州摩天楼の一件だろう。」
「はい。最初に訪れたのは上杉氏の様です。最後に討ち入ったのも少数でしたので、私たちは実質、中に入る事はありませんでしたが…。」
最初のコメントを投稿しよう!