【せいぎの大名・高山右近】

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  「武運…か。」 「其ればかりも、難しい世の中になりましたね。」 「為ればこそ、同じ道を往く俺や貴様でなければ止められん。其れが信長様の御判断だろう。」 「左様…でしたか…。」 義弟が僅かに眼を臥せた。 其の動作を認めた人物、名を古田左介と言う。 軍の中に在り、使い番として動く立場から此度の戦の中枢を担っている。 常に完璧を求められる今の時世に於いて、古田には如何なる綻びも見逃す事は出来ない。 暫時を挟み、話を半ばに戻すなり義弟を即座に問い質した。 「異論があるか。」 「滅相も無い。ただ、此度の沙汰…武人の顔で罷り通る事象(もの)か・と。」 「…何?」 「荒木村重の業は…其れ程までに深い。」 低く、何かを見据える様に呈する義弟。 古田は其のまま、見下ろす位置で話を続ける。 「戦では解決せんと云う事か?」 「あくまで私の勘ですが。」 「かと言って、宗匠の手など借りらるるまい。」 「私は、其れも一手と」 「…長房。」  
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