【せいぎの大名・高山右近】

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  そう。 私の生きる世界――― 其処は今、二つの事象と共に在る。 「戦」と「数奇」。 「仏教」と「聖教」。 そして、「光」と「闇」。 時に“因果”と名を変え 試練として道を塞ぐ大いなる城壁。 事象は因果と、よく似ていた。 為ればこそ、波の満ち引きの様に寄せては返し、混ざり合うのだろう。 今は荒木と云う名の数奇。 事象から食み出す其れはとうとう、王の意志に背いた。 有り得ぬ事象を試練と呼ぶのなら 私も王も、其れを等しく乗り越えねばならない。  
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