第二章・夏の記憶と罪

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そう、あれは確か高校二年生の夏のことだ。 期末テストが終わり、あとは夏休みを迎えるばかりとなった私と真衣は、夜店へ行く約束をし、浮かれていた。 浴衣で行こうと誘った私に、真衣は申し訳なさそうに首を振った。 「あたし、持ってないから」 私はひどく落胆した。買ってもらったばかりの浴衣に袖を通すチャンスをずっとうかがっていたからだ。 そんな私に気づいた真衣は、 「あ、でも真央は気にしないで着ておいでよ。真央の浴衣姿見てみたいもの!」 そう勧めてくれたが、自分だけ浴衣で歩くのも気が引けた。それで、 「なら、私のを貸してあげるよ。うん、それがいい!」 そう提案したのだ。 「嬉しい、本当にいいの?」 「いいの、いいの。きっと、サイズもぴったりだと思うから」 しかし、私が真衣に貸したのは、中学一年生の時に買ったお古の浴衣だった。
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