第二章・素直になれたら

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「あー!うっせぇな、ババァ。早く帰れよ」 「今帰るネ。ワタシも暇じゃないヨ」 「なら、早く出てけ!」 「ユーキが、このニンジン食べ終わるの見届けたら帰りマース」 シスターの小言にいちいち反応する勇気はまるで駄々っ子のようだ。私は見ていて腹がたってきたが、そこはシスターもプロ。負けてはいない。 「ガキ扱いしてんじゃねえぞ。ここの飯がまずすぎるんだ」 周りの迷惑も考えず大声で怒鳴る勇気に、さすがの私も見ていられなくなった。 「あのね、君。もう少し人に感謝しなさいよ。シスターだって君が心配でわざわざ忙しい中来てくれてるの」 「心配してくれなんて頼んじゃいねーし。むしろ帰ってくださいって頼んでるんだ」 この、ガキ。 ようやく取り戻した笑顔がだんだんとひきつっていく。
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