第二章・素直になれたら

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「あー。まずい、まずい。おい塩くれ、塩。こんなの病人食じゃねぇか」 「君は病人でしょうが」 「けが人だよ。バーカ」 本当に可愛くない。 「あのね、ここのご飯は美味しいわよ。うちの病院は確かに古いけれど食事には力入れてるんだから」 「これで?」 「あんたね、好き嫌いばかりしてるから、大きくならないのよ」 しかし、そう言ったつぎの瞬間、 「きゃー!」 なんと、味噌汁の入ったお椀が飛んで来たのだ。幸い味噌汁は冷めていたけれど、白衣はびしょぬれ。同室の患者さんたちやお見舞客も固唾を飲んでこちらを見守っている。 「オーマイゴット」 シスターがこめかみに手をあて、それから床にはいつくばって片づけをし始めた。
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