第二章・素直になれたら

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すると、シスターが「ところで」と切り出した。 「ところで、マオチャン。彼の本当の年齢知ってますか?」 「勇気君の年齢?」 そういえばいくつだったろう。中学生とは聞いていたけれど、正直、彼は中学生には見えない。背が低くて華奢で顔もあどけない。せいぜい小学校五年生くらいにしか見えないのだ。今時の子供は体格がいいので余計に貧弱に見えるのかもしれない。 「あのね、あの子ああ見えて十四歳。中学三年生ネ」 「え、うそ!」 「本当よ」 「それで…」 私はようやく自分の犯した失態に気づいた。だから勇気はあれほど怒ったのだ。 思春期の子供は繊細で、背が低いとか、太っているとか、外見にコンプレックスを抱いている子が多い。 きっと勇気は自分の背が低い事を気にしていた。年齢よりずっと幼く見えることも。 それなのに私は散々子供扱いした挙句、彼の気にしていることをずばり言ってしまったのだ。
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