ネルト学園

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「このくらいでいいか」 荷ほどきが一段落して彼は部屋を見回した。 彼が今いるのはリビングで玄関側にキッチン、その手前にはテーブルと椅子の一セット、窓側には若草色のカーペットの上にソファーとガラス張りのテーブルそして観葉植物が部屋に程よく調和するように置かれている。 ほとんどの家具は入寮した際すでに備え付けられており、さほど時間がかかることはなかった。まあ、もともと必要最低限の物しか部屋に置かなかったからもあるが。 一応彼も炎帝という地位だ。その事がばれてしまうようなものを置くわけがないし、もしバレて部屋を探られてしまうーーーなんてこともあり得なくはない。 そんなことを考えていると、これは大丈夫でこれは駄目と熟考するのが面倒になってより一層彼個人的の荷物が減っているのだが。 モデルルーム並みに物がない部屋だと気付いていない彼だった。 この寮があるネア王立ネルト学園はこの王国一の幼稚舎から高等部まで揃う魔法学園だ。 似たような学園がもうひとつこの国にあり、王立の学園が二つあるのはこのネア王国だ。必然的にそうせざるおえなかったのだが。 彼ーー炎帝が何故この学園にいるのかというのも数日遡る。
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