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19時45分。食器を洗っていると、マサヒトさんがリビングへ煙草を吸いにやって来た。
彼を横目でちらりと見ると、どこを見ているのか分からないようなぼんやりとした目付きで、缶ビール片手に煙草を吸っていた。
「何か、作りましょうか?
アテになるものとか……」
何だかマサヒトさんとキヨフミさん、二人とともギクシャクするのは何だか気まずいので、何とか兄妹仲を深めようと、彼に話しかける。
「……」
彼は無言でゆっくりと顔をこちらに向け、睨み付けるようにじっくりと私を見詰めた。
「……カレー」
そして、彼は私に言った。
「か、カレー?
カレーですか?」
「うん。カレー。
カレーライスだよ。
カレーだ。カレーなんだよ。ロックンロールとは」
「はあ……」
彼の再びのカレー攻撃にきょとんとしながら、引き吊った笑顔で間抜けた返事をした。
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