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「レトルトのカレーならすぐ用意できますが……チンしましょうか?」
「ああ。そうしてくれ。
カレーだ。僕はカレーが食いたい。カレーなんだよ、世界は」
やった! 初めてマサヒトさんと会話ができた!
何だ、彼はカレーが食べたかっただけなんじゃないか。
その調子だ香織。このカレーマンと意思の疎通ができるなんて、大したものだ!
なんて、失礼なことを考えながら、段ボールの箱ごと買い占められてある大量の辛口レトルトカレーのひとつを手にした。
「マサヒトさん」
「んん?」
少し緊張気味に彼の名を呼ぶと、彼は眉をしかめて目を見開き、ニッと右に唇を吊り上げながら私を見た。
「っ……ご飯はいりますか?」
私は少し動揺しながらも、問い掛ける。
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