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大量の段ボールが積み重なる大きな部屋の一角で、私は黙々と作業をしていた。
父が再婚をした。
相手は若い、優しそうな女の人。
新しい母の元には、二十代前半の、二人の息子がいるらしい。
夢の一人部屋にワクワクしていたのは、私の勝手な想像だった。
弟さんが長い引きこもりで、どうしても兄との部屋の共同はできないそうだ。
新婚の両親の部屋にお邪魔するのも何だか野暮だから、お兄さんのお部屋を使わせてもらうことになった。
『アイツはゲイらしいから大丈夫だ』というよく分からない言葉を父からもらい、私は今ここにいる。
父と新しい母が結ばれても、仕事のスケジュールはなかなか合わず。父は夜中近くに帰ってきて、朝早く、それも明け方くらいに出ていく。
一方お母さんは、家に帰ってくる日の方が珍しいようで……。
今、兄のマサヒトさんが外出中のようで、その間に私の私物をこの部屋に移動させている。
部屋の使用スペースは半分こということだけれど、自分の一人部屋に女を置くのだからと、少し気遣って三分の一くらいのスペースにしておく。
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