第一話【カレーライス】

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 彼は私をじっくりと険しい表情で眺めた後、ゆっくり口を開いて、低いトーンで一言発した。 「……カレー」  私の聞き間違いでなければ、まさにその一言だった。 「え? か、カレー?」 「カレー、だよ。 うん。やっぱり」  私の目をじっと見たまま、煙を吐きながらそう言う彼。  私、唖然。 「カレー……カレーだね。 カレーライスなんだよ、なんと言っても。カレー。 カレーだよ、うん。カレーだな」  そうブツブツと独語を吐きながら、マサヒトさんは自分の部屋へ帰っていってしまった。  なんだったんだ、今の……。  今日の夕飯はカレーがよかったのかな……。
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