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先程の一方的なカレー攻撃に、まだ少し方針状態のまま夕飯を作り終えた。
お味噌汁に野菜たっぷりの焼きそば、後は卵焼き。
トレーに乗せて、キヨフミさんの部屋の前まで運ぶ。
ことん、とトレーを地面に置き、その場に正座。
何て話そう……。
頭の中で状況を整理して、ひと呼吸。よし。
コンコン、と扉をノック。
部屋からは何も応答が無い。
「あ、あの……キヨフミさん、ですよね?
私、今日からここの家で一緒に暮らすことになった、香織です。
さっきは、本当にごめんなさい……。あの、そんなつもりは無かったんですが、つい不注意で……。
まして、悲鳴なんて上げちゃって……キヨフミさんも嫌でしたよね。
本当にごめんなさい。
……あ、あのお夕飯、扉の前に置いておきます。
食べたら、またここに置いておいてくださいね」
ゆっくりと、扉越しに話しかける。
「…………」
部屋から返事は無い。
その空気に耐えられなくなって、では、とだけ言ってその場を去った。
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