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ある日、俺は参考書を図書室に忘れたのを思い出し、いつもより早く学校へ向かった。
すっかり桜は散り、今は梅雨…。
曇り空は、なぜか寂しげで俺の心のように見えた。
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桜並木は、まだ冷たい風が吹き、人影のない道程はどこか寂しげで…。
あ、詩ちゃん。
久しぶりに彼女の姿を見た。
髪が少し伸び、背筋もピンと伸びていた。
その姿は、自信に満ち溢れキラキラと輝いているようにも見えた。
詩ちゃんに声をかけようと手をあげだ瞬間だった…。
彼女の元に走り寄る、1人の学生。
誰だ。
そして、彼女の肩に簡単に腕をまわし、歩き出す。
俺の心には、苛立ちと嫉妬が入り混じり…。
彼女は、あいつと一緒にいるために毎朝早く登校していたのか…。
入学そうそう、長期間も学校を休むわけない。
あいつと一緒にいるため…。
何だよ…。
無邪気な無防備な、でもシャイで可愛い…。
白い肌もあいつに見せたのか。
あいつのために、輝いていたのか…。
俺は、挙げた手を下ろしギュッと手を握りしめた。
何だよ、高梨 詩…。
簡単に、俺以外の誰かのモノになるなんて。
俺の、初恋はもう終わった…。
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