第8章

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第8章

☆急接近☆ …あ、なんだろ。フワフワする。あったかぁ~い。ん? 石鹸かなぁ~。良い匂い…懐かしいような…。 ------------ --------------- うっすら目を開けると、カーテンの隙間から夕陽が差し込み……。 え?ヤバイ…。学校…。 朝?昼? 寝坊だ…またお母さんに叱られる…。 でも眠い。 なんだか心地良くて…。 いっか、一日くらいズル休みしちゃおっかな。 布団ににうずくまり、うっすら開いた瞳の視線を天上から、パジャマへ…。 「…きゃぁぁぁ。」 起き上がって、自分の服が乱れている事に気がつき吐き気がする。 一気に朝の出来事を思い出し、頭痛が…。 ここはどこ?まさか松田君…。 私…。 私の体はどうなった? 周りをグルリと見回す。壁いっぱいに敷き詰められた本。 難しい本ばっかり…。 そして、窓には白いカーテン、床は濃いめの年季の入った板間、小さなテーブルとベッドだけのシンプルな部屋。 “トントン” 急に体に力が入り、振り向くのが怖くて、固まったままの私。 “キィ~” ゆっくりドアノブが回される音がする。 「目が醒めたんだね。」 優しい声…。松田君じゃない…。 そう思った瞬間、後ろからフワリと抱きしめられた。 石鹸の良い匂い…。 「詩ちゃん。もう大丈夫だよ。」 ゆっくり振り向くと 葵君の優しい瞳が、私を見ていた。 クルリと体を葵君の方に向き直され、また優しく抱きしめられ、背中を優しいリズムでポンポンとされる。 耳まで真っ赤な私は、葵君としばらく見つめ合い…。 時が止まったみたい。
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