第8章

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彼の優しい瞳と、キレイな唇が、私の胸を更に強く…強く締め付ける。 恋ってなんだろう…。 愛ってなんだろう…。 愛おしい人…。 葵君…。 ------------ --------------- 詩ちゃん…。小さな君をこの胸に抱きしめる事が出来て、夢のようで…。 醒めないで…。 怯えた君を俺が癒してあげるから。 大丈夫だよ。 俺は、君に恋をしたんだ。 そして、それは愛に変わり…。 こんなにも愛おしい…。 君を誰にも渡しやしない。 ------------ --------------- 見つめ合い、葵君の長い指が私の唇に触れる…。 …松田君に奪われたファーストキス。 …汚れた唇。 …汚れた私…。 ゆっくりと葵君のキレイな唇が近づく…。 ダメ…。 こんな私じゃぁ、葵君が汚れてしまう。 近づく唇に、私の心が揺れる…。 触れたい…。 あなたに触れたいよ…。 ゆっくり俯き、唇が重なる事が怖くて…葵君を汚したくなくて…。 涙が頬をつたう。 体が震える。 ------------ --------------- 詩ちゃんの震える体と、流れる涙の意味は解ってるんだ。 彼女の傷付いた心と唇…。 俯いた彼女の顔を両手て優しく包み、ゆっくり視線を絡ませる。 「…詩、ごめん…。」 「…葵君、助けてくれてありがとう…。」 「違うんだ。詩のファーストキス…。」 「やめてよ…。聞きたくない…。」 声にならない位に、弱く…。 「違うんだ。」 また、私を優しく抱きしめ、耳元で囁く。 「詩のファーストキスは、俺がもらったんだ。」 「え?」
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