第2章

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☆彼の事☆ 「はぁ~よく寝た。」 気持ちの良い朝陽がカーテンの隙間から差し込んでいた。 すっきり目覚め、さぁ学校にいく準備をしよう。 「こらぁ~詩ぁ~早くしなきゃ遅刻よ?」 お母さんの喝で時計を見ると、 「やぁっばぁ~。」 焦りに焦り…。ギリギリセーフ? 家から学校までは、歩いて30分。 学校迄の道のりは、桜並木や銀杏並木があって、ゆっくり散歩するには最適。ここを散歩するのが大好きだから、勉強を必死で頑張って今の進学校に進んだ。 と言っても、A組~C組は学力別で分けられたクラス。 私はもちろんギリギリの成績だから、これからがきっと大変だろうなぁ~。って他人事(笑) キレイな桜並木を堪能する間も無く(涙)猛ダッシュ…。 息を切らして下駄箱ついて、しばらく息を整えるためにしゃがみ込んでいた。 ん? 何だか視線を感じる…。 スッとハンカチを出され、ゆっくり見上げると、 嫌な奴…。 「汗、拭きなよ。雨女さん。」 そう言って、私の横にしゃがみ、私の手のひらにキレイにアイロンのあたったハンカチを置く。 え? 彼はキレイな瞳で意地悪に微笑して行ってしまった。 胸の奥が暖かくなって、同時にキュッと胸が締め付けられた。暫くハンカチを見つめて、ぼんやりとしていた。 「あ~っ、ヤバイ遅刻だぁ~。」 ハンカチを制服のポケットにしまい、教室に飛び込むと、 「高梨さん、初日から遅刻とはいい度胸だ。」 担任の松田先生の引きつった顔が見えた。 しょんぼり「すいません。」と小声で言って、席に着いた。 あんな事がなかったら、間に合ったのに。 でも…。何だろこのドキドキ。ポケットの中のハンカチをギュッと握りしめた。
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