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「なぁ、真央」
ようやく悠馬が振り返った。その表情は明るく、今さっきまでの出来事などまるでなかったかのようだ。
「真央、もうすぐ誕生日だったよな?」
「誕生日…。あ、忘れてた」
「なんだよ、自分の誕生日忘れる馬鹿がいるか」
つかつかと歩み寄って来た悠馬に軽く頭をごつかれ、私は「もうそろそろ忘れたい年頃なの」と反論した。
「でも、よく覚えてたね」
「だってうちの職場は誕生日休暇があるだろ。勤務表を見ればわかるさ」
「そうだったね」
本当にすっかり忘れていた私を、悠馬がまたからかった。
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