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城門と同じように重苦しい音を立てながら内部への扉は開く。
男はやはり迷うことなく先に進むことにした。
赤い絨毯が道を示すように敷かれている。
城内はどうやら迷路ではないようだ。
絨毯は階上へと続いている。
他にも部屋や地下へ続く階段もあったが、ここまで呼ばれているからにはと思い直し、誘いに乗ることにした。
階段についている手すりは大理石で、繊細な彫刻を施されている。
無骨な城だという印象とはかけ離れた細やかさだった。
その手すりには埃一つなく、男顔すら映るほど磨かれていた。
そうこうするうちに一つの扉の前に来た。
木でできた両開きの扉にはやはり繊細な彫刻が施されている。
男は深く息を吸い込んだ。
この先に、この男を待ち受けているであろう存在を思えばこそだ。
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