第1章【お気に入りの帽子】

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俺たちは、胸の高さまである深く鬱蒼としたブッシュを掻き分けながら車へと歩を進めた。 車に戻り、ウェーダーを脱ぐ二人。 「それにしても、ブッシュと谷地坊主(ヤチボウズ)がすごいよな。歩くの疲れるわ(笑)」 「だな(笑)普段、人が入ってない証拠だよ(笑)川に入るわけじゃないのにウェーダーが必需品なんだから(笑)」 「うん。ウェーダーだとぬかるみを歩いても滑りづらいから安心だしな(笑)」 湿原の川を釣る時は、川の中に立ち込むことはなくてもイラクサなどの触ると何日も辛い痒みが続く植物や、アブやカなどの虫への対策に、ウェーダーは必須アイテムとなる。 ウェーダーを脱いだ二人は車に乗り込み、まだ土と砂利だけのガタガタした道を走り、対岸へと向かった。
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