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横になったおかげか随分とドキドキが収まったような気がした。
もう一度瞼を閉じたらいつも通りの天井が――……などと思ってやってみるものの物事そううまく行くものではない。
晴れ晴れとした青空しか広がっているだけ。
(馬鹿みてぇ俺……)
ふっと小さく鼻で笑いパチンと顔を叩く。
「気合い入れて家に帰っぞ!!」
だが今の短い間で何か引っかかるものがあった。
首をひねって引っかかるものを探るが何に引っかかっているのかよく分からない。
ここに来てから自分が自分でないような気がしてならない。
翔はそっと起き上がり自分の手をじっと見つめた。
だが見つめる先にあるその手は翔がいつも見る自分の手だった。
「何考えてんだ俺。俺は俺だ」
よっと。と、もう一度立ち上がり遠くを見つめる。
ずっと続こうが必ず終わりはある。
一歩一歩進んでいくうちに出口があり人がいる。
怒られるのはぐっと我慢すればものの一瞬で終わる小さな出来事にすぎない。
大好きな曲を鼻歌で歌いながら行けばすぐにつくはずだ。
――と思っていた。
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