9人が本棚に入れています
本棚に追加
色とりどりの花畑を歩いて30分はたっただろう。
一向に出口らしい出口はなく、人にも誰一人会っていない。
太陽の位置はまだ真上。
夕方には出れると信じてひたすら歩くしか今他に出来ることがない。
大好きな曲を歌うのもだんだん飽きてきて無言で黙々と歩く。
時おり後ろを振り返り人がいないかと確認するがいるわけもなくため息しかでない。
「はぁ…………」
最初に比べため息の出る回数が増えてきた。
本当に自分にイライラする一方だった。
「これがドッキリか何かだったら……本当にその仕組んだ奴ぶっ飛ばす」
こんなドッキリを仕組む奴などいないがそうも考えなければ気が晴れない。
だがむしろこれがドッキリだと信じたい自分もいた。
こんな人気のない広大に広がる花畑に一人ぽつんとずっといると不安に似た何かが襲ってくるようだった。
人の暖かさを感じたい……誰かと会話したい……もうここから一生出れないのではないかと悪い方向へと考えが進んでいってしまう。
「大丈夫だ……きっと……きっと……」
不安なんかに負けるなと強い気持ちを持とうとするが沈むばかり。
そんな時今まで風以外に聞こえることのなかった音が聞こえてきた。
最初のコメントを投稿しよう!