はじまる前

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何だか孤独を味わったような気分で、翌日もフラフラと漂っていた。 (私だけ何もフラグ立たないなぁー…) 体育見学の後、トボトボと靴箱へ一人足を運ぶ。 皆は着替え中。 階段の下にある靴箱は少し薄暗くて、今の自分としてはビミョーに落ち着く気がして… つい物思いに耽っていたら、、 「こらっ。」 ドキッ! 「なにしてんの?」 「ビックリしたぁ~、林先生やん。」 声をかけてきたのは、新米体育教師の林先生。 「お前どっか悪いの?」 「ん?んーーー…?」 「サボりかっ!(笑)」 身体の調子が悪いのはあるんだけどねー、上手く言えない。 こーゆー時は笑って誤魔化す。 「あははは。」 まだ若い先生だから、冗談もノリも生徒に近いものがあるのかな? あんまり怒ったりもしない。 こんなとこに二人きりで居るのもビミョーだなぁ、、と、 上履きに履き替え階段に行こうとしたら… 「!」 先生が身体ごと行く手を遮った。 (先生?) 薄暗い中で先生の顔を見上げると、、 無言のまま口を開かず笑っていた。 (えっ…?) 状況が把握しきれず、頭の中でプチパニック。 ふと触る手。 (ドクンッ…) 気付けば私の左手を上に向け、先生の右手が私の左手首を握りしめていた。 そうして、ジリジリと近付いてくる。 (近っ…!) 痛いくらい手首を掴まれたまま、大人の男の人が薄ら笑いを浮かべて… (……っ!) 無言で何を考えているのか分からない。 怖いくらいの圧迫感に声が出ない。 近付く熱に押されながら、どんどん…どんどん…階段下の暗がりへ… ドッ…! 壁に背中を打つ。 これ以上下がれない。 のに、 先生は、私に覆い被さるように距離を縮め続け… 近すぎて…顔がよく分からない距離になった瞬間! 「あははは!」 複数の女子生徒の笑い声が、遠くで聞こえてきた。 こっちに来るかも、、 すると、先生の手がゆっくりと離れ、ゆっくり歩き始めた。 目線を残したまま笑顔で去って行った、、 私もそのまま教室へ向かった、、 何事もなかったような顔で、、 そう…何もなかったんだから…
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