はじまる前

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そよそよと気持ちいい風が流れていた。 よく晴れた空。 賑やかな学生たちの声。 それをベッドの上で聞いている私は、何者だろうと思う。 『調子どんなね?』 保健室の先生が伺う。 『ん~?マッタリだね~。』 寝転んだまま私が応える。 そう、私は保健室の常連になっていた。 今思えば、 小学校も中学校も保健室に居座り、、 何故か仲良くなって、サボっても怒られないと言う関係になってた、、 不思議なもんだなぁ。 もういっそ、朝からだらだらしてたい… 私は、 ほぼ毎日続く原因不明の熱と闘っていた。 毎日ダルくて、疲れていて、火照った身体に、目眩や立ちくらみのオンパレード。 時々、心臓付近を刺されるような痛みや、圧迫される息苦しさを感じる。 でもやっぱり原因不明だから、病名も無いし、治療方も無い。 (疲れた…。) 医者が分からないものを説明しても、一般人が理解出来るはずもなく… 辛い事を いちいち伝える事にも疲れた… 苦しいのに 平気なフリで笑う事にも疲れた… 怖いくせに  一人で泣く事にも疲れ果てた… それでも… 笑顔と言うタガを外すと、もう…笑えないような気がしていた…。 『大丈夫。大丈夫だよ。』 理久の声がする。。 彼はこんな私の戯れ言にだって、いつだって優しく受け入れてくれた。 理久のあの言葉は、私のお守り。 『大丈夫だよ。みお。』 頭の中で何度も繰り返していた。。
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