第四章・空虚

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実家に戻ってからは、一日の過ぎるのがひどく遅く感じた。そのくせゆとりがなく、疲れも癒えない。 拓実の事を考えない日なんてない。日に何度も携帯電話をチェックしてしまう。拓実から着信がないか、メールが届いていないか。その度に落胆し、私は、自分の判断が間違っていたのではないかと不安に駆られた。 家を出ると言ったとき、私は少なからず期待していたのだ。拓実が引き止めてくれることを。 けど、彼はそうしなかった。 真央がそうしたいなら仕方ない。 そう言われたときの絶望をどう言葉に表したらいいだろう。ともに暮らした四年間をかけがえのない時間だと感じていたのは私だけだったのだろうか。 まだ別れたわけではない、冷却期間だと自分を慰めながら、その一方で、もしかしたら拓実はこれで終わりだと受け取ったのではないかという不安に潰されそうになった。 素直に謝って帰るという方法もある。けど、それで何が変わるのだろう。考えすぎて、頭がパンクしそうだった。
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