第四章・空虚

4/32
前へ
/33ページ
次へ
悠馬は助手席に滑り込んだ私の手元に視線を移し、ぱっと顔を輝かせた。 「手袋、使ってくれてたんだ」 「あ、う、うん。これ、すっごく暖かい」 手袋は悠馬が私の誕生日に送ってくれたものだ。 彼は照れ笑いし、何度も私の手元に視線を送った。 その手袋の下に、拓実が送ってくれたブレスレットが隠れているのを、でも悠馬は知らない。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加