そしてこれが現実である。

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 と、立ち上がった俺の耳に届いたのは奇妙奇天烈な台詞と悲鳴の数々。 俺はテーブルに散乱するポテトと、それを呑気に摘まみながら横を向く菜々子を一瞥して首を動かす。 そこには小、中、大、と見事に揃った覆面強盗達が立っていた。 何やらその場にいる幼女を人質に取り、手に持ったリボルバー式拳銃を突き付けながら、店にも客にも金を要求している。 「マッキー、強盗だってー」 「みたいだなぁ……裏口から帰るか」 「おい、そこのリア充クセェバカップル! こいつが見えねぇのか!?」 「金出してないのお前ら、勘違いの果てのオマイガー!」 「でゅふふ! リアル幼女ドロップでおじゃる! ぬっほぉー、ペロペロするでおじゃるよ!?」 「うぇーん! このふとったおじさんきもちわるいよー! えーん! こわいよー、だれかたしゅけてぇー!?」 「えー? まだ芋食ってねーし、強盗とかマジウケるしちょっと待って?」 「いや、菜々子お前……人として大丈夫か?」 「「「話聞けよ!!?」」」  まったくうるさいな……強盗だかなんだか知らないが、俺は菜々子の相手で手一杯なんだよ……だから。 「あ、待機中の機動隊の皆さん、後はよろしくお願いしまーす」 「「「マジかよ!?」」」  十秒以内に片付ける。そう決めた俺は、流れるようにテーブルのポテトを掴んで、人質を取る真ん中の小さな強盗の顔面に投げ付けた。 「いってぇ!? 塩、塩!」 「「ファッ!?」」  連中の一瞬のパニック、それだけあれば俺には十分だ。 店が揺れる程の爆発的な踏み込みで、直線上にいる男に肉薄。 “十分に加減した”チョップにて、まずは小さな男の銃を持つ腕に一撃。 そのまま、銃を取り落とした男の腕より幼女救いだし、回転する勢いを使って菜々子に放り投げる。 回転力をそのままに、小さな男に背中を叩き付けた。鉄山靠(てつざんこう)! 「「…………え?」」 「はい、オシマイ」  後は、漫画みたいに吹き飛んで壁にめり込む小さな男に唖然とする二人の顎に掌打を打ち込み、きっかり十秒。卒倒する強盗二人を見下ろす俺の出来上がりである。 我ながら完璧な制圧術、これで我々の店内での評価は逆転することだろう、うん。
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