そしてこれが現実である。

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「うぉおおおおおいっ!? 昨日と別人じゃねぇかよ完全に! 誰だよお前ぇええ!?」 「はぁ……だから、貴方の大事な大事な幼馴染み第一号の蒔野菜々子ですって……もう、何でゴボウが気付いて貴方が気付かないのよ……けいの馬鹿……」 「おい蒔野ォ!?」 「……何よ、ゴボウさん」 「それじゃ俺は、ただの根菜になっちまうだろうがぁああ! 院を付けろ、院を!?」 「……貴方の沸点が良く分からないわ」  何だか良く分からない事を喋っているがとにかく、俺の目の前にいるのは蒔野菜々子らしい。 ババロア星人とか、サラダ星人とかが化けている可能性も否定できないが……ん、ちょっと違うか? まぁ、いいか。 しかし、何だって菜々子はこんな急激な変身を……。 「何でこんなに変わったのかなー……みたいな顔してるわね、騎竜くん」 「良く分かったな」 「貴方は分かりやすいのよ……ん、理由は簡単……昨日のせいで親バレしたのよ、あの格好が。貴方のせいで」 「あぁ、そっか……お前んち両親厳しいもんな……悪い」  蒔野の家系は代々要人警護を生業としているらしく、小さい頃から菜々子への教育は厳しいものだった。 昔はその絡みで良く俺に泣き付いてきて、じいちゃんに頼んで家に泊めてやったっけか。 そんな家が嫌というのもあり、菜々子は一人暮らしをしているのだ。両親は、これも教育だと援助をしてくれているらしいが……監視の目は、どうやら未だにあるらしい。 菜々子も年頃なんだし、好きな格好させてあげれば良いのに……男でガキの俺が言うのもなんだけどさ。 「別に良いの、気にしないで、ちょっと意地悪したかっただけだから……どのみち効果がないって分かったし、あのキャラに未練は無いわ……」 「ん? 菜々子、それってどういう……」 「騎竜くん、もう行きましょう? 遅れてしまうわ」 「お、おう」  もしかして菜々子は、俺の気を引こうとあんな格好を……? いや、まさかな……有り得ないだろ、俺は菜々子が好きな訳だし。それを菜々子も知ってるだろうし。口で言えば良いだけだからな、うん。 「菜々子」 「何?」 「俺は昨日より、今の方が可愛いと思う」 「……そう。なら、しばらくこれで行くわ」 「おーい、五宝院くんを置いてかないでね? あと、背景に花出さないで、五宝院くん隠れるから」 「ちっ……!」 「舌打ちすんなよ!?」
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