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「じゃぁ、ワガママのついでに。柊から、俺が今まで頑張ってきたぶんの"ご褒美"くれないか?」
私の瞳を先生が優しい瞳で真っ直ぐ見つめたまんま言ってきた。
やっぱり、冬木先生は、狡いですよ。
そんなに優しい瞳で見つめられたら…、
嫌なんて言える訳ないじゃないですか…。
「柊、くれないのか?」
「先生、ありがとうございました」
そう言って、
先生に向き直って、首に腕を伸ばしぎゅうって抱きついて、そっと先生に口付けた。
「全然、足りない。唯、好きだよ、これからもずっと」
先生が唇を少し離してそう言ったかと思うと、
名前を呼んでもらえた余韻に浸るまもなく、今度は先生が口付けてくる、深くて、息が苦しくなるくらいの口付けを…。
*****
「さぁ、帰るか?」
「あ、はい」
暫くすると、
まるでなんにもなかったみたいに私からゆっくり離れて、入り口へと足を進めていく冬木先生。
本当にいつもとなんにも変わらない。
冬木先生と私の想いとおんなじように…。
これからもずっと、
冬木先生の背中を見つめながら、
一緒に前に向かって歩き続けたいって思う。
『冬木先生、私のことを好きになってくれて、今まで見守っててくれて、本当にありがとうございます。これからは、私の先生じゃなくなっても、ずっと好きです。ずーっと変わることなく。今よりもっと…』
そっと、大きな背中に呟きながら、大好きな先生の直ぐ後ろを、いつものように歩いた。
*END*
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