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「じゃぁ、そろそろ帰るね」 「うん、また明日ね」 日向ちゃんを見送って、 静かになった数学の準備室で勉強を再開した。 ーーガラッ… 入り口には、 「おー!頑張ってるな?」 浜田先生が立っていた。 「はい。資料ですか?」 「悪いなぁ、直ぐ終わるからな?」 「いえ、私の方が占領して、すみません」 「ハハ、気にするなよ。元気な顔見れて嬉しいよ」 「…はい」 そう言いながら、棚の資料を出している。 「柊」 「はい」 「良かったな」 浜田先生が手を休めないまま、急に言うから……驚いた。 「はい?」 「いい顔してるよ。学校、楽しそうだな」 ……少し、 胸が熱くなった。 何気なく、気遣ってくれて いつも、心配してくれて… 「…はぃ…」 「泣くなよ!笑えよ……逃げるぞ。幸せが」 そう言うと、 「なんてなぁ~」って言いながら、 何時もみたいに豪快に笑っている。
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