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「……なに?」 「え?…」 準備室を出る前に、 急に聞いてくる冬木先生。 「笑ってただろ?」 「……いえ、別に」 ちょっと、不服そうな顔をしてる。 「まぁ、いいけど…」 拗ねたように聞こえて、また少し笑ってしまった。 「思いだし笑い、ですよ」 「……ふうん」 ーーヤッパリ… 不機嫌な言い方が可笑しくて、 「……ふっ」 とうとう、吹き出してしまった。 あ!って思って、 慌てて口を塞いだけど 時すでに遅しって感じで… 冬木先生にジロリと見られた。 「ごめんなさい」 「謝るって事は、俺のこと?」 『しまったぁ』と、思っても遅いよね? ……恐る恐る、 顔を上げて見ると うっ、睨まれてるし。 「先生の事じゃ、無いですよ?」 段々、小さくなってしまう声。 「まぁ、気にして無いしな」 一言呟いて、くるりと背中を向けて歩いて行く。 絶対に、気にしてるよね?… そう思いながら、 冬木先生の背中を、 頬を緩むのを抑えながら、追いかけるようにして歩いた。
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