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「……テスト、どうだった?」 冬木先生に聞かれて、 忘れてたことが頭に浮かんでくる。 「……なんとか?」 笑いで誤魔化すように言ったけど、疑問形になってしまった。 「ミスったとか」 「……え?」 松居君といい、先生といい、なんで同じセリフ言うかなぁ? ヤッパリ性格、似てるのかな? 「図星って顔。してるけど?」 ルームミラー越しに、 意地悪な表情がチラリと見える。 「ちょっと、難しい所があっただけですよ」 「そっ、……まぁ、明日もあるし、頑張るのも程々にな」 今度は優しい言葉をくれて、気持ちが明るくなってくる。 「はい!」 「…ふっ、急に元気になったな」 ……だって、 冬木先生が優しく気遣ってくれてるのが解るから、嬉しくって。 『頼り無い担任なんかじゃ無いですよ?……浜田先生』 心のなかで、そう呟いて… 「……普通ですよ?」 「ふうん。……まぁ、いいけどな。笑顔が見れたら」 そんな言葉を聞いて、 益々頬が緩んでいくのが、少し恥ずかしかった。
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