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電車の中。 ヤッパリ時間が早い事もあって空いていた。 日向ちゃんは1つ前の駅で降りたため、 私とリサは、扉の近くに座って、ゆっくり話していた。 話し込んでたら、 「もう、着くね?」 「……あれ?ホントだ」 なんて言いながら、扉が開くのを待っていた。 電車から降りて、 ホームに向かって歩きながら話していた。 「あれ?」 「……ん、リサ?」 「……人違い。……行こう。早く早くぅー!」 「うん。……ちょ、痛いよ急に」 急に背中を押されて、 リサに文句を言いながら改札口に向かった。 今度は腕を引っ張るリサ。 不思議に思いながら、何気なく振り向いた。 その瞬間、 ホームに視線を向けたことを後悔することになった。 「唯?早く行こうって!ねぇ」 「……うん」 返事をすることが出来たのに、 脚が、動いてくれなかった。 同じ中学だったんだから、 同じ駅を使うのは当然で… 偶然会うことだって当然で なんにも、 特別な事じゃない。 でも、立ち止まったまんま… 悲しそうな瞳が、 私を離してくれなかった。
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